夜のしめやかな願い

「だってさ、オミ兄が勘当のようになったおかげで、色々としわ寄せがきているんだよね~。
 いや、雅兄が結婚したからか。
 とにかく藪蛇もいいとこ。
 次から次へとお見合いさせられてさ。
 せっかく面白い人をみつけたっていうのに」

ぶつぶつと呟いている最後のフレーズは耳に残らなかった。

「たーくん、お見合いしてたの?」
「させられているの」

強く言い返される。

「そう」

しばし呆けた。

内藤家の男子として産まれたら、当然だろう。

ずっと女性をとっかえひっかえが当たり前で、それが変わらないように思っていた。

一人に決めるんだ。

まあ、でもお見合いで政略結婚となると、その生活は変わらないかも。

さゆりはそう思い至って、ほっとする。

< 137 / 187 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop