夜のしめやかな願い

      *

突然、妨害を感じなくなった。

「おまえだろ」

宗臣はバーカウンタの隣に座っている宗忠をにらんだ。

宗忠は、さゆりが宗臣の世話を焼いていることを、母親である静香にしゃべったのだ。

さゆりを自分の娘のように思っている静香は、いつも通り天然に、かつ朗らかに夫を脅迫した。

あの男は、母のそんなところにもぞっこんなのだから、脅迫されてさぞ喜んだだろう。

「余計な事を吹き込んで」
「うん、まあ、そうだけど。
 いつまでもこの状態だと、こっちが困るんだよね」

他人は見た目で騙されているが、兄弟で一番腹黒なのはこの弟だ。

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