夜のしめやかな願い

「おまえ、恥ずかしい」
「いやいやいや」

宗忠は絶句する。

「相手に話は済んでいる」
「いや、済んでるとかじゃなくて。
 仕事、辞めた?
 日本を離れるってどういうこと。
 そんなの」

許されるわけないじゃないか。

宗忠は言葉にしないが、言わんとすることはよくわかっていた。

「どうして、そんな突然」

宗忠は動揺を抑えるようにグラスを飲み干した。

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