夜のしめやかな願い
一瞬、さゆりが戸惑った様子を見せた理由を、宗臣はたやすく見抜いただろう。
顔の表情を緩める。
「久しぶりだな。
髪の毛、切ったのか?」
髪型に驚いたのはさゆりだけではなかったようだ。
いつも冷ややかで硬かった宗臣の口調は柔らかくて、さゆりの背筋がかゆくなる。
さゆりは就職した日に、思い切ってショートにしていた。
「うん」
「似合っている」
ふわりとした微笑とともに言われて、さゆりは仰天した。
こんなこと言う人じゃなかった。
ますます男のようだな、とかそっけなく、そして関心なさそうに言うはずなのに。
「ありがとう。
オミって髪の長い人が好きなんだと思っていた」
驚きに思わずどうでもいいことを言ってしまう。
これではなんだかオミの評価を気にしていたみたいだ。
宗臣は少し考える様子を見せた。