夜のしめやかな願い
「その人に似合うか似合わないだろう?」
「そ、そっか」
「コーヒーでも飲むか?
さゆりは紅茶か」
席から立つと、部屋の隅に用意してあるカウンターに寄った。
「あ、ええと、私、やるよ」
さゆりの部屋に来ているときは、いつも要望を告げるだけで、自ら飲み物を用意することなどなかった。
驚くとともに、なんだかあせって、さゆりは宗臣の近くに寄った。
「オミはコーヒー?」
「いや、いい。座ってろ」
「うん」
きっぱりと言われて、さゆりはすごすごとそこにあったソファーに座った。
手慣れた様子で入れられた紅茶は香り高く、味もまろやかだった。
宗臣はお茶を入れられないのではなく、入れなかっただけなのか。
また新たな事実にさゆりはちょっと落ち込んだ。