夜のしめやかな願い
「演奏会で、こっちか?」
「ううん」
宗臣がその返答に、少し首を傾げて、促す。
さゆりは腹を据えて、宗臣の顔をしっかりとみつめた。
「聞いたの。
私との関係が週刊誌にばれそうになったから、仕事を辞めたって」
ふっと宗臣の空気が変わった。
冷え冷えして、さゆりにとっては馴染みのある空気。
「おまえをかばうために辞めたわけじゃない」
宗臣は頬で薄く笑った。
やっとさゆりのよく知る宗臣が現れる。
「面倒だっただけ。
おまえを世間や内藤から庇うことが」
宗臣は優雅に足を組む。
「あと、見合い相手に対してフォローすることも。
こんなことがバレたら、あの女に後々まで尻に敷かれるのが明白だ。
そんなのは割に合わない」
まあ、俺様ですもんね。
さゆりは内心で呟く。