夜のしめやかな願い

「そもそも、だ。
 おまえに関しては、別にどうだってよかった」

宗臣は少し目を細めて、口元を引き締めた。

「出世のために、お前の家の脱税を暴露したが、なんの後ろめたいこともない。
 放っておいてよかった。
 ただ、おまえたち親子に恩を売っておけば、何かの時に利用できると思っただけだ。
 何に使おうか考えたが、これといって利用するような状況にならなかったからな。
 だから、職場のこともあるし、見合いもする予定で、遊べないから、都合のいい欲の処理相手にしただけだ」

冷たい微笑の浮かぶ顔。

懐かしいなあと思った。

「わかってた」

さゆりは笑った。

「色々と、わかってた。
 でもwinwinだと思ってたから。
 オミが面倒をみてくれておかげで、母も心安らかだったし」
「あの最期でか?」

皮肉る。

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