今日から夫婦を始めました

「そうか、友達か」

「こう言っちゃあれなんですけど…北居くんのことは、そう言うようには見れないです」

「それは、ひーくんがゲイだからとかじゃ」

「いえ、違います。

私は北居くんのことをそのように考えたこともなければ、そのように見たこともないので」

私は言った。

「本当に、お互いのお互いのためのお互いの結婚だと思っています。

結婚する理由は違えど、目的は一緒でしたから」

「ああ、そうだったね」

「北居くんに“形だけ”の結婚を提案して、偶然だったとは言え、彼と会わせるきっかけとなった柴崎さんには感謝しています」

そう言った私に、柴崎さんが照れたのがわかった。

「“形だけ”の妻の私が言うのは、おかしいのですが…」

そこまで言うと、私は深呼吸をした。