今日から夫婦を始めました
「北居くんのことを、よろしくお願いします」

私は言った。

「…まさか、そんなことを言われるとは思ってもみなかったな」

そう言った柴崎さんだったけど、満更でもないと言った様子だ。

「柴崎さんも友達だと思っていますから」

「友達って…」

柴崎さんはクスクスと笑った。

「もし神田川さんが目の前にいるんだったら、ぜひとも握手をしたいよ」

「私もそう思っています」

「じゃあ、この辺で話を終わらせようか?」

「お忙しいところ、どうもありがとうございました」

「いやいや、とんでもないよ」

「それじゃあ」

私たちはそう言うと、電話を切ったのだった。

スマートフォンをテーブルのうえに置くと、私はソファーのうえで横になった。
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