敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「いや待て、ウチの会社男の方が多いじゃん。そこで15位って中々だろ?」
「はは、お前も負けず嫌いだな」
あー、なんかダメだこの人。
裏表ありすぎて、この先同期としてでも出来ればお近づきにはなりたくないタイプだ。
「……こいつ、君の同期?」
「あっ、はい、見えないけどそうだと思います」
「ふーん……。ムカツク奴だな」
立ったまま、隣のブースの話に耳を傾けていた室長が小声で私に訊いてきたので私も小声で返した。
もしかして、私がこんな風にからかわれる感じで話題になっていることに怒ってくれてるのかなと思うと嬉しいけれど。
私は座ったけれど室長は立ったままなので、まさかとは思うけど乗り込んでいったりしないよね、と心配になる。
こんな話を聞いてしまったけれど、一応同期なのでこれからも顔を合わせるだろうし、気まずくなるのは避けたくて。
「室長、座りましょう?」
「……君は怒ってないの?こんなこと言われて」
「嫌ですけど……。怒るというより残念というか……。まあ、確かに合コンたくさんしてるし、私は顔で気持ちを表すのヘタなので誤解されても仕方ないかと……」
「そう。悪いが君はよくても、俺は嫌なんだ」
「え? あっ、室長……!」
明らかに不機嫌である室長は私に背を向け隣のブースへと向かう。
私も焦って後を追うけど一歩遅く、室長は隣のブースの木目調の壁をコンコン、とノックしていた。