敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~

「神田さん、薫のこと普段はなんて呼んでるの?」

「え?」

「いや、ごめん。プライベートなことだけど気になっちゃって」

「え、えっと……、室長、って呼んでますが……」

「室長?二人きりでも?」

「そ、そうです」

「え……、ごめん、上司と部下とか、そういう”設定“が好きとか……?」

「いっ、いえ!違います!」

「ふーん……、そうか……。じゃあ、あいつは君のことなんて呼ぶの?」

「え?」


なんと呼ぶか、と訊かれて頭に真っ先に浮かんだのは合コンに行く前に執務室で背後から『七海』と呼ばれて胸がときめいた甘い記憶。

思い出したと同時にその後室長を怒らせてしまったことも思い出されて、モヤモヤしたものが胸の内に澱んでいく。


「えっと……な、名前でとか、君、とか呼ばれます……」

「そうなんだ。悪いけど全然想像つかないなあ。あいつ、女の子に対する態度が俺よりひどかったからさ」

「そうなんですか?」

「うん。あれ、このことって知ってるよね?君には話したって言ってたけど」

「あ……、まあ……誰ともちゃんと付き合ったことはないって……」

「そうそう。俺も大概だけど薫よりはマシだよ。あいつの場合は自分が必要とする時にだけいればいい、何も聞くな求めるな、ってさ。ひどすぎるんだよ」


室長からは今までの恋愛遍歴、といっても恋愛に該当するかは謎だけど、それらをさらっと聞いてはいたけどこうして第三者から、しかも親しい身内から聞かされるのはまた別の意味で衝撃的だった。

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