敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「突然なんだけど、今って急ぎの仕事、何か頼まれてる?」
「いえ、特には……。どれも比較的時間をいただいてるものなので」
「そっか。じゃあ神田さんにお願いしたいことがあるんだけど」
「……私に、ですか?」
「うん、そう。君にしかお願い出来ないことだよ」
そう言って社長は口角をぐいーんと上げて最上級の笑顔を見せるけれど、どう見ても何かたくらんでいるようにしか見えないのは気のせいか。
それに優秀な秘書は他にもいるし、なにより社長には佐伯さんという専属秘書がいるのになぜ私に頼むんだろう。
「えっと、翻訳……じゃないですよね?社長は語学堪能で5か国ぐらいはいけると伺ってますし、通訳もお付けにならないですし」
「はは、ペラペラってほどではないけど語学は少し出来る方かもね。でも話せるけど翻訳はダメだな。日本語が難しくて。そこは薫に任せっぱなしなんだよね」
「……ああ、室長は確かに何でもこなしてしまいそうですが……」
室長と社長は性格はまるで似ていなくて、無表情で暗い室長と軽い社長。
だけど目元やちょっとした表情がはっとするほど似ていると思う時があってドキッとする。