敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「……なに、風邪がうつるようなことされたい?」
「い、いや、そういう意味では……」
「病人を煽るなよ」
「そんなつもりは……」
「悪いけど、君は自分が餓えた獣の前に差し出されたウサギだっていう自覚ある?」
「え?」
「前に言ったよな。俺の欲求不満は君にしか解消出来ないって。今、風邪のせいで理性ないけど。それに溜まってるし優しく出来ないぞ」
「え、え、あの……」
腰の後ろにしっかりと回された手が、さらに密着するよう私を引き寄せる。
背中をのけ反らせるようにして室長を見上げると、私を見つめる艶やかな瞳と視線が重なり胸の奥がきゅんと締め付けられるような甘い痛みが走る。
「……冗談だ。そんなに構えるな。無理矢理襲ったりしないから安心していい」
「あ……」
回された腕が解かれ、寄り添っていた身体が離れるとさっきまで感じられた熱い体温が僅かに残り、もう一度抱き締めてほしいとさえ思ってしまう。
「入って。散らかってるけど」
「あ……、はい、お邪魔します……」
体調がすぐれない室長には申し訳ないけど、病に臥せっている感じがまた違った意味で色気を演出していて、私の胸のドキドキは治まる気配すらなかった。