敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
もしかして、授かっちゃった……ってことなのかな。
それなら顔色が悪いことも、室長があんなに慌てて対応していたのも説明がつく。
そして大阪出張も、もし佐伯さんのご実家が大阪だとしたら結婚を急ぐために挨拶に行くということでまとまるんだけど。
なんとなく、そうは思えないかな、というのが率直な感想。
「……出張2名ってことは室長が行くんだよね……」
出張の日程は土曜の朝出発で一泊という内容だった。
いつも室長の予定は社長の予定にほぼ重なっていて、週末なら空いてるかと毎週スケジュールを気にしているけど中々空いてくれない。
室長の部屋に行った時からずーっとすれ違ってばかりで、単純に寂しい。
「はあ……、室長ってばいつ暇になるんだろ……」
「いつだろうな」
「え!」
くたっと机の上に突っ伏して秘書らしからぬ体勢で呟いた独り言に、まさか返事があるとは思わずガバッと顔を上げる。
するとそこには上品な光沢が映える渋い色合いのスーツに身を包む室長の姿。
上着を脱いでベストだけの状態だからか、とにかく手足の長さが強調され、スタイルのよさが際立っている。