敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「室長、外出されるんじゃ……」
「ああ、午後に変更になったんだ。阿川さんに用があったんだが……」
「阿川さんは今、専務のお部屋に行ってます」
「そうか。じゃ出直すか……」
仕事中だし、てっきりこのまま戻られると思っていたのに室長の足は動かない。
他にも何かあるのかと室長を見上げて様子を窺うとじっと見つめ返されてしまい、胸が騒ぎ始めて徐々に挙動不審になる私。
「あ、あの、何か……?」
綺麗な目で見つめられ続けることに耐えきれず、ドキドキし過ぎの胸を落ち着かせようと、用もないのに席を立ち壁側のキャビネットへと向かう。
何かの書類を探すふりをするという無駄な行動に自分でも呆れるけど、こうでもしないと顔は赤くなるばかりだし、寂しいとかなんだとか面倒くさい女のような台詞を吐いてしまいそうだ。
「何か探し物?」
「あ、は、はい」
「手伝うよ」
「えっ!」
探し物なんて嘘なのに、室長は手伝うと言って私の方へとやって来た。
あなたとの距離が近すぎて心臓がもたないから離れたんです、とは今更言えず、再び心拍数が上がっていく。