敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~

「何を探せばいい?」

「えっと……、書類を……そ、そうです、出張の……」

「出張の、何?」

「だからその……」


もう明らかに無理がある。

キャビネットの中にある書類は全てカテゴリごとにファイリングされ、整理整頓が徹底されているし、しているという自負もある。

キャビネットには他にも備品が収納されているけれど、探し物ならこっちを言うべきだったと気づく。

この整理され尽くしたキャビネットの中で、室長の手を借りるほど書類を探す手間なんて絶対にかからないのだから。


「本当は何も探してないだろ」

「……はい……」

「なぜ? 俺が傍に来たのがそんなに嫌だった?」

「……違います。逆です」


私は隣に立っている室長を見上げ、火照った頬をごまかすのはもう無理だと観念してそう言った。


「何でそんなに赤くなってる?」

「……そんなの知ってるくせに」

「わからないから聞いてる」

「っ……、わからないからじゃなくて言わせたいから聞いてる、ですよね!」


室長がいると、こっちはこれまでされてきたあんなことやこんなことが頭の中に浮かんできて、意識しっぱなしなのに。

至極楽しげに私を見つめる室長は余裕の笑みを浮かべてる。

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