敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
繋いで絡めた長い指が私の指先を艶かしく擦りあげるのがひどくいやらしく思えて胸を騒がせる。
「来週、出張から帰る頃には色々と片付いてると思う。それまではおあずけ、ってところか」
「な、何がおあずけなんです……?」
「次は逃がさないって言っただろ? 帰ったら、必ず君を抱く」
「なっ……!」
「返事は?」
そう言って私を真っ直ぐ見つめる目に吸い込まれそうなほど惹かれている私の返事はもちろん“yes”の一択なんだけど。
室長の手の上で思い通りに転がされている自覚もあるので、素直にそう言いたくないのと、はっきりと気持ちを聞きたいという思いが交錯する。
「へ、返事は……秘密にしておきます」
「秘密……になってないんじゃないか?」
「へ?」
「嫌ならすぐに言えるだろ。少なくとも嫌ではないっていうのはよくわかった」
「っ……」
「君は俺を焦らすのが上手いね」
「そ、そんなつもりは……、あ……」
繋いだ手が室長の口元に引き上げられて、手の甲に恭しく唇が落とされる。
まるで童話の王子様のようだと一瞬見惚れてしまった。
こんなキザったらしい行為が似合う上に、それが許されるのはイケメンの特権だと思う。
私の反応を見届けて満足したのか、室長はふふ、と余裕たっぷりに微笑んで執務室へと消えた。