敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
好青年というものを絵で描くとしたら間違いなくこの人になるに違いない。
そう思うほど、このお孫さんは爽やかな笑顔に清潔感に溢れた身なりで、色素の薄い柔らかそうな髪は好印象しか与えない。
「薫くん、そちらのお嬢さんは? 君の秘書かな」
会長さんはそう言って私へ目を向けるけど、人当たりの良さそうな雰囲気なのに眼光は鋭く、その迫力に足がすくみそうになる。
「いえ、彼女は私の部下です。私の役職は秘書室長ですよ」
「何? わしは聞いとらんかったぞ。秘書室長なんぞ薫くんでなくともよかろう? 勿体ない、暁斗くんは何も言わんのか」
「おじい様、前回お会いした際に今のお話は伺っていましたよ。おじい様がお忘れなんですよ」
好青年な上にイケメンなお孫さんがこれまたナイスなフォローを入れ、眉間にシワが寄りつつあった会長の機嫌を戻す。
「おじい様はベロベロに酔ってましたからね。なにも覚えていらっしゃらなくても不思議はありません」
「それは仕方ないじゃろ? 話が弾めば酒も進むというものじゃよ。さあ二人とも突っ立っとらんで座りなさい。潰れるまで飲もうじゃないか」
こうして座敷の廊下に大きく響き渡るような豪快な笑い声を合図に、上機嫌の会長さんとの会食が始まった。