敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
ただ単に室長の気まぐれというか、綺麗な女性を見すぎて目が変になったのかはわからないけど、せめて隣にいても恥ずかしくないように所作は美しくありたいと意識して歩を進める。
「まずい。先に来てる」
「え?」
約束の時間は18時。
今は17時半になったばかりだ。30分前に着いているのだから私達が遅いわけではないけれど。
「おお! やっと来たな薫くん」
通された部屋に既にいらしていた会長と思われる年配の男性が大きな声で室長の名前を呼んだ。
「会長、早すぎですよ。まるで我々が遅刻したみたいじゃないですか」
室長が苦笑いしながらそう言うと、会長と呼ばれた白髪に白い口髭を蓄えた恰幅のよい男性が満面の笑みを浮かべた。
「いや、久々に君と飲めると思うと朝から楽しみで落ち着かなくてな。確かにちと早すぎたかもしれん」
「おじい様、さすがに1時間以上早く来るのはどうかと思いますよ」
そう言って会長の隣に座っていたお孫さんと思われる男性がたしなめる。