敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
私の返事を聞いた室長は一瞬呆気にとられたような顔をしたけれど、すぐに目を細めて微笑みながら口元を抑えていた私の手を取った。
「そんなこと気にしなくていい。君は何も考えずに、ただ俺を感じればいい」
ちゅ、と私の手の甲にキスをしながらそう話す室長に、ドキッと胸が大袈裟に反応してしまう。
「俺は君の声が聞きたい。それに演技だなんだと考える余裕もすぐになくしてやるから心配無用だ」
そう言って室長は口の端を上げて不敵に笑う。
室長がそう言うのだから、我慢なんてする必要ないんだ。そう思うと緊張で強ばっていた身体の力が抜けるような気がして、急に気が楽になる。
「それでいい。力が入ってると感じるものも感じないからな」
「……はい。室長に、お任せします……。でも、後で引かないでくださいね? その、私が、声とか……たくさん出してしまっても……」
こんなことを言うと大袈裟かもしれないけれど、室長に少し本気を出されただけで信じられないくらいに気持ちいい。
これまで私が経験してきたことって何だったの? と思うほどに室長から与えられる刺激は違うのだ。
「ははっ、絶対に引くことなんてないよ。そうだな、じゃあ今日は君の声を枯らすまで頑張ろうか?」
「なっ、……っあ……!」
頑張る、なんてどんなことでもさらっとこなす室長には似合わない台詞。
だけど室長はそう言って私の唇を再び捕らえ、身体を沈めて肌を重ねてきた。
身体中に熱の籠った唇が落とされ、淫らな指先は私に聞くのも恥ずかしい声を上げさせた。
頑張らなくても大抵のことは出来てしまうであろう人が本気を出すとどうなるのか、この夜私は身をもって知ることになった。