敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
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翌朝、髪をゆっくりと撫でられる感触で目が覚めた。
隣にいるはずの室長は上半身を起こしているらしく、私は彼の腰の辺りに頬を寄せる体勢になっていた。
気だるいのと、寝不足と、全身を見るにいいだけ見られた事実がどうにも恥ずかしくて、目は覚めたけど寝たふりをし続けている。
室長は新聞でも読んでいるのか、紙が擦れる乾いた音が聞こえてくる。
それでも室長は片手で私の髪先をいじっていて、私が寝てる間もこんな風に触れてくるのだとわかって嬉しくなった。
「ーー七海、おはよう」
「え……」
まさか声をかけられるとは思ってなかったので、思わずびくっと身動ぎしてしまった。
ゆっくりと室長を見上げると、私の寝たふりはバレバレだったんだと思うような余裕の笑みを浮かべた室長と目が合う。
「まだ眠い? それとも恥ずかしい?」
そう言って室長は意地悪な笑みを見せる。
昨夜は室長にされるがままだった自覚はあるし、室長にもその自覚があるのだろう。
いつ眠ったかわからないし、かなり無茶をさせられた気がするのでとても眠いけれど、何より恥ずかしさが勝ってまともに室長を見られない。