敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~


眉をひそめていた室長は、私の申し出を聞いた次の瞬間には整った顔を思いっきり崩して笑い、髪をかき上げながらゆっくりと立ち上がった。

一歩、また一歩と私の元へ近づいてくる様子は私の目にはまるでスローモーションみたいに映って、距離が縮まるたびにドキドキと胸が高鳴る。

そして、視界が室長のシャツで覆われた時には私は久々に感じる優しいぬくもりに包まれていた。


「……俺を呼びつけるとか、偉くなったな」

「だ、だって……」


室長が私をどう思っているのか知りたかったから。
でも、いまその答えをもらって、こうして抱きしめられて、あまりにも幸せ過ぎて逆に信じられなくなりそうだ。


「……君が好きだ」

「っ……」


聞けると思ってなかったストレートな告白に抑えていた気持ちが涙と一緒に溢れていく。


「う……、き、君じゃなくてもいいとかっ……すごく傷つきました……!」

「……ごめん」

「ほ、他の人と結婚しろとか、もう絶対言わないで……」


涙声で訴える私をあやすように室長の手が優しく背中を擦ってくれた。
それだけでも満たされて安心して、ずっとこのままでいたいと思える。

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