敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「……ああ。ただ、俺より慎太郎君のそばで幸せになる君を想像するほうが容易に想像できたんだ。あっちは家族皆が温かい、理想の家庭だ。でも俺のところはーー」
「いいんです。私は室長と幸せになりたいんです。それに、私は幸せにしてもらおうなんて思ってません」
「え?」
私の発言が予想外だったのか、室長は抱き寄せていた体を少し離して私の顔を覗きこむ。
「私が室長を幸せにします。だから……私を離さないでくださいね?」
「……っ」
「なんて、ちょっと生意気……、んっ……!」
ちょっと偉そうに言い過ぎたかも、と照れる私に熱い唇が落とされた。
久々に触れる感触に胸が高鳴り、啄むようなキスは徐々に交わりを深くしていく。
「ん……、ふっ……」
腰に回された腕は体を離すことを許してくれず、徐々に体重をかけられて少しずつあとずさりしていくと、気が付けばすぐ後ろにソファが迫ってきていて。
室長が何をしようとしているのか察した私は奪われ続けていた唇をなんとか取り返した。
「ま、待って室長、まさかここでとか……」
「まさかって何? 前に言ったよな? いつでも、どこででも、って、な?」
「あっ……」
ギシっと、二人分の負荷がかけられ革張りのソファが軋む音。
思惑通り私をソファへ押し倒した室長は口角を上げてオフィスに不似合いな艶やかな笑みを浮かべている。
「ほ、本気ですか……?」
「もちろん。だから、嫌ならもっと本気で嫌がれ。……まあ、嫌じゃないみたいだけどな」
「っ……、そ、そんなことな……、あっ、や、だめ……」
耳朶に首筋に、容赦なく這わされる唇が私を従順にしていき、余裕なさげにせわしなく体を弄る熱い手が胸を昂らせていく。
感じる熱が体を溶かし、思考を奪って、私はただ室長がくれる甘い時間に溺れ、体温を分け合いひたすらに求め合った。