敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「じゃ、俺たちはこれで」
そう言って室長が踵を返して帰ろうとするので、私も慌てて後を追う。
社長と佐伯さんはともかく、私と室長の仲はまだ秘密のままだ。
でも家のお母さんには挨拶に来てくれていて、結婚を前提として付き合っていきたいと頭を下げてくれた。
お母さんもものすごくまともな人を連れてきたと言って大喜びだった。
まあ室長の過去を知ってもものすごくまともな人と思うかどうかはわからないけど。
「室長、私、おめでとうの意味がわからないんですけど」
「減るもんじゃないしありがたく受け取っておけばいい」
「いやそういう意味じゃ……。あれ、なんでそっちです?」
会社の外に出て、いつものように室長の家へ、と思い歩き始めると室長は家とは反対の方向へスタスタと歩き始めた。
「あの……」
「七海、俺は来年副社長になりそうだ」
「え?」
歩きながら世間話でもするようなトーンでそう切り出されて驚きしかない。
ゆくゆくは、と思っていたけど今は年末なのに来年だなんてあまりにも急だ。