敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「そうなれば余計な仕事は増えるし、中々思うように時間が取れない。でも俺は君との時間も欲しいし、子供も欲しい。君は?」
「え? そ、それは私も……」
気のせいか「子供」とかいうワードが聞こえたような。
私はともかく室長が子供好きとか全く想像できないので、やっぱり聞き間違い、かな。
「そうか。それなら問題ない」
「問題ない……んですかね……。え、あれ、どこ行くんです? ここって……」
室長は会社を出てからはやたらと早足で、私はやや小走りでここまでついて来たけれど、室長が入って行ったのは区役所で。
「七海。あとは君だけだ」
「え……、これって……」
室長がポケットから取り出したのはキラッと輝く石が眩しい指輪。
「安心しろ。サイズは完璧だ」
「え、いや、そういうことではなく……、あ、ぴったり……」
区役所に着くやいなや、左手を取られて薬指に指輪を嵌められて。
どう考えたってこれって、そういう意味なわけで、戸惑うなと言う方が無理がある。