敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
「七海。雰囲気も何もなくて悪いと思うが、これが俺だ。せっかちで、君が喜ぶシチュエーションも用意出来ない。とにかく早く君を自分のものにしたくて余裕がないカッコ悪い奴なんだ」
周りはそこそこ人がいるけど、区役所の片隅で手を取り合っている私たちは目に止まる存在ではないと思う。
けれど、私の目には室長は相変わらず素敵で眩しくて、こんな囁きを聞ける私は世界で一番幸せに違いない。
「七海、俺と結婚してほしい。式はまだ挙げられないし、公表もできない。でも俺はもう待てない。君の全てがーー欲しいんだ」
まるで懇願するみたいにぎゅっと手を握られ、こんなに甘いプロポーズを聞かされて。
私の返事なんて聞かなくても知っているだろうに、どこか不安そうにも見える室長がたまらなく愛おしい。
「……私の全部なんてもうとっくにあげてるのに。でも、まだ欲しいものがあるなら、喜んで差し出します。薫さん、私が、あなたを幸せにしてあげますね」
嬉しくて恥ずかしくて、きっと顔は真っ赤だと思うけど、私は包み隠さず満面の笑みを添えて答えた。
すると薫さんも極上の笑顔を返し、人目もあるのにちゅっと軽くキスを落としてきた。
そしてそこからは有能すぎる薫さんの根回しと手際の良さに脱帽するしかない展開で。