敏腕室長の恋愛遍歴~私と結婚しませんか~
このままだと潰されてしまうし何とかしないと。
そう思って佐伯さんの隣に座っていた男性がトイレに立った隙に、そこへ移動しようと席を立つと。
「少し出ようか?外の空気吸っとく?」
「……はい。そうします……」
剣崎さんに誘われ、何の疑いも持たずについていく佐伯さん。
いや、それついていったらダメだよね。
ていうか剣崎さんやっぱり上手いよ、うん。
酔わせておいて、連れ出して二人で親睦深めるとか、絶対怪しいのに佐伯さんは素直すぎるのか、はたまた剣崎さんのことを気に入ったのか。
私の見立てでは前者だけど。
だって佐伯さん、全然楽しそうに見えなかったし。
笑ってはいたけれど、愛想笑いというのか、本気で楽しいっていう笑顔じゃなかった。
まあ愛想笑いとか作り笑いは、悲しくも私の得意とするところなので結構わかる方じゃないかなと思ってる。
席を移動したのはいいけど、お目当ての二人がいなければ意味がない。
しかも監視対象がいなくなっては困るのだ。
「阿川さん、私お手洗い行ってきますね」
とにかく二人を追わないと。
そう思い席を離れることを小声で阿川さんに伝えると、ニコッと笑って頷いてくれたので、私はすぐに二人の後を追った。