俺がきみの一番になる。
「え? マジで?」
「亜子、スポーツ観るの好きなのにー」
「なんだ、俺に会いたいって思ってくれたわけじゃないのか」
「えっ?」
──ドキッ
「そ、そんなこと、思うわけないじゃん!」
なぜだかちょっとムキになってしまった。顔が熱いのは、なんでだろう。
「俺は会いたいって思ってたけどな」
うっ。
そんなすごいことをサラッと言わないでよ。
恥ずかしいんですけど。
本田君の余裕そうな横顔をじとっと見やる。すると、私の視線に気づいたらしい。
こっちを見て、苦笑いを浮かべる。
「困った顔をさせたいわけじゃないんだけどさ、夏休みに入ってから柳内さんに会えなくなってさみしいっていうか。だから、今日は来てくれてサンキュー」
「べ、べつにお礼を言われるようなことはしてないよ。それにしても、花火をするにはまだ明るすぎるよね」
照れくさくて、話題を変えた。これ以上話していると、おかしくなりそうなんだもん。
『さみしい』なんて、そんなこと……言わないでよ。
本田君のバカ。
「実は、待ち合わせはまだ先なんだよ。今日は柳内さんに俺のとっておきの場所に案内したくてさ」
そう言って自慢気に笑う本田君。その笑顔がまぶしくて、ドキッとする。
「とっておきの、場所……?」
「傷ついたときとか、嫌なことがあったときに行くと癒やされるんだ」
「どこどこ?」
「着いてからのお楽しみってことで」
歩いていると駅に着いた。改札前を素通りした本田君は、どうやら電車に乗るわけじゃなさそうだ。駅の反対側に降り立った。
そこにはタクシーやバス乗り場がある。
そこで本田君はバス停まで来ると時刻表を確認した。この辺は都会だからバスの本数はたくさんある。