俺がきみの一番になる。

五日後。

あの花火の日から、まちがいなく私はへんだ。なんだかボーッとしてしまっているし、ふとした時に本田君の顔ばかりが頭に浮かぶ。

「はぁ」

自然と漏れるため息。本田君のことを考えると、心臓がドキドキして体中が熱くなる。

『好きだ……柳内さんのことが』

『どうしようもないくらい……好きなんだよっ』

『俺のこと……好きになってよ』

本田君に抱きしめながら言われた言葉の数々を思い出しては、赤くなるほっぺを両手で隠して悶えている。

この前自分の部屋で足をジタバタさせながら悶えていたら、お父さんが何事かと血相を変えて飛んできたのは、いい笑い話だ。

夏休みだけど特にすることもなく、家にいても本田君のことばかり考えてしまうので、最近では一人で駅の近くの繁華街のファミレスでダラダラするのが日課。

ここだと涼しくて夏休みの宿題もはかどるし、暇な時は人間ウォッチングをして時間を潰してみたり。

あれから変わったことといえば、毎日本田君とメッセージのやり取りをするようになったこと。

『部活行ってくる』

『帰ってきた』

『寝る。おやすみ』

大体の内容はそんな感じ。メッセージだと本田君はすごくあっさりしている。

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