俺がきみの一番になる。

言ってません……言ってませんよ、高木君。それにしても、本田君がまぶしすぎて目を当てられない。

お願いだから、早く服を着てー。

目の前がクラクラして、思わず机に手をついた。その手がズルッとすべってしまい、裏返しになっていた参考書やそのへんに置いてあった物が落ちる。

「ご、ごめんっ」

しゃがんで参考書を拾い上げた瞬間、その下から一枚の写真が出てきた。

その写真は表向きになっていて偶然見えてしまった。

そこには、今よりも少し幼い笑顔の本田君と女の子が写っていた。

入学式という文字が書かれたついたてとともに、二人は制服姿で肩を寄せ合い、仲良く並んでカメラ目線でピースをしている。

写真の日付と年数から、中学の入学式の写真だとわかった。

女の子は肩までくらいの髪の毛を下ろして、色白で小柄なかわいい子だった。

──ズキン

あ、あれ?

なんで、今……。

「柳内さん?」

「え?」

やば、本田君にへんな目で見られてる。

「ご、ごめんね! すぐに拾うからっ!」

写真をバッと参考書に挟んで、それを机の上に戻した。

偶然とはいえ勝手に写真を見てしまった罪悪感と、へんな緊張が入り混じってそわそわしてしまう。

写真のことが気になって、頭から離れない。

ねぇ、その子は誰……?

一瞬だったけど、写真からはいい感じの雰囲気が伝わってきた。

誤解させるようなことをしたくないって言ってた本田君が、女の子と二人で、しかも笑顔で写真に写っているということが、とても深い意味があるように思えてならない。

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