俺がきみの一番になる。

どっちかっつーと、苦い思い出なんだ。

「あー……身長が低い人は恋愛対象にならないし、草太君はあたしよりかわいいから嫌だって言われたんだっけ? それはマジ同情したわ」

「思い出させるなよ、忘れたい過去なんだから」

結構傷ついたし、立ち直るのに時間がかかった。

こいつはマジで、痛いとこばっか突いてくる。

「いいだろ、今は身長も伸びてカッコよくなったんだから。朱里ちゃんは中三の夏休みに引っ越したけど、久しぶりにおまえに会ってビックリしてたし。今頃、振ったことを後悔してるかもよ?」

「そんなわけないだろ。つーか、朱里のことはもういいから」

若干イラッと気味に言うと、拓也はそれ以上はなにも言わなかった。

頭の中にあるのは、さっきの出来事。

後悔以外のなにものでもない。

いつも俺は、つい強引にしすぎてしまう。自信があるわけでも、カッコつけてるわけでもない。

こいつ、ほんとに俺の気持ちをわかってんのかなって。

かなり抜けてる亜子には、多少強引にしないと伝わらない気がして不安だから。

振り向いてほしくて、こっちを見てほしくて、必死だから。

それに三上とのことでカッとなって、つい……。

ああせずには、いられなかった。

< 166 / 256 >

この作品をシェア

pagetop