俺がきみの一番になる。

その日の夜、夢見心地のまま布団に入った。

草太との間に起こったことを、頭の中に思い浮かべてはニヤニヤしている。

「で、なにがあったの?」

同じく布団に入って肩肘をついた咲希が、なにかがあったと確信したような表情で問いただしてくる。

「うふふっ」

「なによ、その不気味な笑いは」

「えへへ」

「本田君となにかあったんでしょ?」

「わかる?」

単純かもしれないけれど、ものすごく顔がゆるんでしまっている。

「そんなの、誰が見てもわかるよ。観光中の亜子は、本田君のことが気になって落ち着かないって感じだったのに、戻って来たら顔を赤くしてボケーッとしてるんだもん」

どうやらものすごく態度に出てしまっていたらしい。

「あのね、実はね……」

テンション高く咲希に話した。けれど六人部屋でクラスの他の女子もいたので、声を小さめにして控えめにしたつもり。

だけど、バッチリ聞かれていたらしい。

「なになに? 柳内さんの恋バナ?」

「誰の話ー?」

「聞かせてー」

同室の女の子たちが目をキラキラさせながら頭を寄せてくる。

今まで話したこともなかったので、目を見開いてビックリしていると。

女の子たちは互いの顔を見合わせた。

< 180 / 256 >

この作品をシェア

pagetop