俺がきみの一番になる。
その日の夜、夢見心地のまま布団に入った。
草太との間に起こったことを、頭の中に思い浮かべてはニヤニヤしている。
「で、なにがあったの?」
同じく布団に入って肩肘をついた咲希が、なにかがあったと確信したような表情で問いただしてくる。
「うふふっ」
「なによ、その不気味な笑いは」
「えへへ」
「本田君となにかあったんでしょ?」
「わかる?」
単純かもしれないけれど、ものすごく顔がゆるんでしまっている。
「そんなの、誰が見てもわかるよ。観光中の亜子は、本田君のことが気になって落ち着かないって感じだったのに、戻って来たら顔を赤くしてボケーッとしてるんだもん」
どうやらものすごく態度に出てしまっていたらしい。
「あのね、実はね……」
テンション高く咲希に話した。けれど六人部屋でクラスの他の女子もいたので、声を小さめにして控えめにしたつもり。
だけど、バッチリ聞かれていたらしい。
「なになに? 柳内さんの恋バナ?」
「誰の話ー?」
「聞かせてー」
同室の女の子たちが目をキラキラさせながら頭を寄せてくる。
今まで話したこともなかったので、目を見開いてビックリしていると。
女の子たちは互いの顔を見合わせた。