俺がきみの一番になる。
誰にでもいい顔しすぎで無防備。ヘラヘラして、バカみたいって……べつにそんなつもりはないんだけどな。
「隙がありまくりで見てらんねーし、あんな奴に手まで振るとかありえない。八方美人だよな、柳内さんって」
きっぱりそう言い切られた。なんだか本田君の言葉にはトゲがあって、責められているように感じてしまう。
それと同時に沸き上がる感情。
「そうだよ、バカだよ。でも……まだ、好きなんだもん。それにね、ほとんど話したこともない本田君に、そんなこと言われたくないよ! 本田君は亜子の何を知ってるの?」
なんだか無性にイライラした。よく知りもしない人に、そこまで言われたくない。
勝手なことばっかり、言わないでよ。
「亜子のことを何も知らない人が、知ったようなことを言わないで! そういうのが一番嫌いなんだから!」
廊下で大声を出したせいで、あたりがシーンと静まり返った。でも、そんなの関係ない。言わなきゃ気がすまなかった。
そうだよ、本田君に私のなにがわかるっていうの。
なにも知らないくせに。
言うだけ言ってダッシュで教室に入った。本田君の顔は見れなかったけど、ビックリしていたと思う。
感情型の私はカッとなるとなんでも口にしてしまう。でも、だけど。
本田君が悪いんじゃん。