俺がきみの一番になる。

「サンキュー」

それから本田君と一緒に自販機へと向かった。すると後ろから足音が聞こえて、その人はあっという間に本田君の隣にきた。

「あたしも手伝うよ!」

かわいく笑いながら、黒髪のポニーテールを揺らす綺麗な女の子。スラッとしていて小顔で、モデル並みに整ったスタイルと容姿をしている。

隣のクラスのその子は学年でもすごく人気がある野球部のマネージャーの、沢井 実花(さわい みか)ちゃん。

「いや、俺ら二人で大丈夫だから」

「えー、そんなこと言わずにさぁ! 一緒に行こうよ、ほら」

さりげなく本田君の手を取って、引っ張る沢井さん。明るくて無邪気な笑顔がとてもかわいい。

「ちょ、やめろって。引っ張るなよ」

「いいじゃん、早くー」

沢井さんに引っ張られるようにして、二人は私から離れていく。

その場から動けずにいると、ふと後ろを振り返った沢井さんと目が合って、それまで笑顔だったのにあからさまに睨まれてしまった。

だけどすぐにプイと顔をそらし、さらにきつく本田君の腕に自分の腕をからめて歩いて行く。

ど、どうしよう。

沢井さんはどう見ても本田君に気がありそうだし、邪魔しちゃ悪いよね。

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