俺がきみの一番になる。
「いい加減にしろよ、おまえら。離せっつってんのが聞こえねーのかよ?」
本田君が私の腕を掴んでいた男子の腕を掴んだ。そして力をこめてギュッと握りしめる。その瞬間、男子はうっと顔を歪めて私の手を掴んでいた手の力をゆるめた。
私はとっさに腕を払って、男子の手からすり抜ける。無我夢中でもう片方の手も、思いっきり力をこめて振り払うと簡単に抜けた。
「こっち!」
急かすように本田君の声が飛んできて、とっさに走った。怖くて震えているけど、必死に足を動かした。
そして、本田君の後ろから少し離れたところの電柱に身を隠す。心臓がありえないくらいバクバクいってる。
「ふざけんなよ、おまえ」
「うっせーな。俺が相手してやるよ」
五人の男たちに対して本田君は一人。
心配になって電柱の影から覗くと、ひるむことなく堂々としている本田君の姿が見えた。
「ってかおまえ、この人数に勝てると思ってんの?」
「あ? 知らねーよ!」
「いい度胸だな」
ニヤニヤしながら、男たちが近づいてくる。
こ、怖い。
だって、もし本田君になにかあったら。
「ほ、本田君……」
小さく震えるか細い声。
それでも本田君は気づいてくれた。
「大丈夫だよ」