俺がきみの一番になる。
特に断る理由もなかったから頷いたんだけど、なぜだか高木君も一緒についてきた。
「なんで拓也までくるんだよ」
「いいだろー、俺だって亜子ちゃんと話したいんだから」
「なにを話すことがあるんだよ」
「それは、まぁ色んなこと。草太のこととか、草太のこととか、草太のこととか! たまーに俺のことも。あ! あと、亜子ちゃんの身長がどうしてそんなに低いのかってことも」
「なんだよ、それ」
思わず苦笑いを浮かべる本田君。私まで笑ってしまった。高木君はユーモアがあるから、会話が弾んでとても楽しい。
三人で並んで廊下を歩いていると、ふとどこかから突き刺すような視線を感じた。
振り返った瞬間、遠くからこっちを見ている沢井さんと目が合った。沢井さんは女友達数人と話し込んでいる。私を指差しながら一人の子になにかを耳打ちすると、そこにいたみんながつられるようにしてこっちを見た。
心臓がヒヤリと冷たくなる感覚がした。
ヒソヒソとなにかを言ってクスクスと笑われる。でも、沢井さんだけは私を睨んでいた。
それは気分がいいものではなく、なんとなく居心地が悪くて。うつむきながら歩いた。
「ん? どうかした?」
私の目の前に本田君のドアップが。下から覗き込むようにして顔を見られる。
「な、なんでもないよっ」
そうは言ったものの、モヤモヤして落ち着かない。
「なんかあるなら言えよ?」
「なんでもないってばー!」
笑ってごまかしたけど、本田君には見抜かれていたらしい。
「柳内さんの場合、そう言う時は、絶対なんかあるんだよ」
ちょっとしと心の変化を敏感に察知する本田君はすごいと思う。だからこそ、絶対に知られたくない。
こんなこと、言えないよ。