俺がきみの一番になる。
深くゆっくり息をして、胸にくすぶっている怒りを吐き出す。落ち着け、落ち着けと自分の胸に言い聞かせた。
だけどしばらくしても落ち着かなくて、さっき言われた言葉が胸の中に深く深く残っている。
どれくらいだろう。しばらくその場でじっとしていた。雲ひとつない青空に、まぶしい太陽。熱でジリジリとアスファルトが焼けていく。
そんなアスファルトの上に大の字で寝そべって、ただまっすぐに空を見つめる。
季節はもうすっかり夏だ。そうだ、夏だよ。もうすぐ夏休みだ。楽しいことだけ考えよう、そう楽しいことだけ。そしたら気分が明るくなるような気がする。
「亜子? なにしてんだよ、こんなところで」
「へっ!?」
考え事をしていたせいで、人の気配に気づかなかった。真上からじっと見下ろされているけれど、逆光でその人の顔がよく見えない。
背格好や声や雰囲気、話し方でそれが太陽だってわかるのに時間はかからなかった。
「ビ、ビックリしたぁ。急に声かけないでよ」
「いやいや、こんなところで寝そべってたら心配になるだろ。倒れてるんじゃないかって」
「え? あ」
そういえば、そうか。ゆっくり体を起こしてその場に座る。すると、太陽も私の隣に腰を下ろしてあぐらをかいて座った。