俺がきみの一番になる。
「恵まれてる? 亜子が? べつに、亜子と本田君は付き合ってるわけじゃないし。なんなら、亜子だって忘れられない人がいるし……ずっと引きずってすごく苦しかったんだからっ! それなのに、こんなことされて……教科書かしてくれる友達もほかのクラスにはいないし……困ってるんだけど!」
ああ、もう。なにを言ってるの、私は。誰にも言ったことがなかったのに、よりによって沢井さんに打ち明けるなんてどうかしてる。
「う、うるさい! 誰もあんたのことなんて聞いてないんだよ!」
「そうだけど……なんだか言いたくなっちゃったんだよ! 亜子と沢井さんが、あまりにも似てるから……言っとくけどね、亜子は沢井さんみたいに誰かに嫌がらせをしたりはしてないよ!」
「あ、あたしだって……あたしだって、したくてしてるわけじゃないし! あんた見てると、ムカつくから……っ」
お互いにヒートアップしていき、息が上がる。沢井さんに至っては、途中で時々涙を拭っていた。
「ムカつくからって、こんなことしないでよ!」
強気でそう言うと、沢井さんは急に黙りこんでうつむいた。
「だって……似てるんだもん」
さっきまでの勢いをなくしたその声色は、明らかに元気がない。