俺がきみの一番になる。

「あんたがあたしの忠告を聞かないから、こんな目に遭うんじゃん。あれだけ言ったのに、なんで草太に近づくわけ? 許せない、あんただけは。草太だけが……今のあたしの光なんだよ!」

敵意むき出しの目が容赦なく体中に突き刺さる。

「だったら……本田君にぶつかればいいじゃん。なんで亜子なの? こんなことしてたって、本田君は振り向いてくれないよ?」

「うるさい! あんたなんかに、あたしのなにがわかんの? あたしはねぇ、中学の時からずっとずっと草太を見てきたの! 草太一筋だったの! 告白だってしたけど、振られて……すごくツラかった。それでも諦められなくて、ずっと好きで……っ。草太があんたに告白してるところを偶然見て、それであんたのことが許せなくなった。あんたなんか、いなくなればいいんだよ!」

沢井さんは呼吸を荒くして、目を見開き、感情をあらわにしている。その目には、うっすらと涙が浮かんでいた。

「あんたなんかの、どこがよかったの……? なんで、あたしじゃダメなの? こんなに……こんなに、好きなのにっ」

胸がカーッと熱くなって、焼けるような灼熱感が襲った。無意識にキツく握りしめた手のひら。呼吸がしづらい。でも次第に冷静に考えることができるようになった。そしたら、だんだんムカついてきた。

キツく握った拳が震える。

「それは本田君に直接聞きなよ。亜子を恨むのは筋ちがいでしょ」

「うるさいっ……! 恵まれてるあんたなんかに、あたしのみじめな気持ちなんてわかんないんだよっ!」

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