ボクは初恋をまだ、知らない。
「あら、女の子だったのね。」
「ほんと、男の子だと思ってたわ。」

お客様方の話し声が聞こえる。

「綺麗なドレスねぇ…
あんなのどこにあったのかしら?」

「私アレにシール貼ったわよ。
ちょっと地味そうだったから試着まで行かなかったけど、意外と華やかなのね。」

30代の女性がそんな事を言っていた。

「そうか…薔薇の刺繍のレース。
展示の仕方のせいで地味に見られがちだったんだな。」

「太陽くん、ようやく気づいたのね?」

倉橋が後ろからニョキっと現れた。
コイツは昔から神出鬼没だ。

「実際に着た方が映えるのよね。
月村さんのドレスは。元々あの子の個性丸出しのデザインだったし、よく似合ってるわぁ♪」

倉橋は俺の肩に手を乗せてくる。
まるで同性の友達のように。

「月村千影……か。名前の通りだな。」

「お?太陽くん良い事言うねぇ。」

難しい黒の着こなし。
凝ったデザインなのに、いとも簡単に着こなしている月村は、黒がとても似合っていたのだ。

「夜闇に映える、月。
倉橋、俺が太陽のように、アイツはどうやら月のようだな。」

「何そのロマンス発言。なんかやらしーっ!」
「はぁ??バカか。」

ロマンス発言なのは認めるが、
俺は不覚にも見とれてしまった事は明かさないでいた。
〜Side.太陽先生 END.〜
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