ボクは初恋をまだ、知らない。
「…俺に壁ドンして欲しい…だと??!」
啓介は真顔でリアクションしてきた。
「うんっ!ほら、早く!!」
るなが傍で見守る中、
ボクは子供が親に抱っこをせがむように
啓介に両手を広げたが…
「んな恥ずかしいこと出来る訳ないだろ!?」
「いててててっ!!」
啓介はやっぱり啓介で、
ボクに軽めのプロレス技をかけてきた。
「啓介くんっ!!お願いします!!
ツッキーのトキメキの確認なんです!!」
るなが懇願してくれて、"トキメキ"のフレーズに反応した啓介がピタリと止まった。
「まさか千景、男に壁ドンされたのか…?」
相変わらず娘の心配をする親の目になったが、
さらりとボクは「そーだよ。」と言った。
真顔に戻った啓介。
るなが今日の出来事を語ると、
何となく状況を理解してくれたみたいだ。
「恋なのか確認ね。…まぁ、千景は確かに恋愛経験ねぇから分かるけど…手法が危ういわバカ。」
……してくれそうなので、
バカの言葉には目を瞑ることにした。
「ぢゃあ、その時のシチュエーションと少し合わせて啓介くんのタオルを使おう!!」
るながニヤニヤしながら再現に近づける演出を考えてくれた。