ボクは初恋をまだ、知らない。
「うーん……」

頭で考えない方がいいのは、
何となく分かってた。

「そういえばツッキー、
あの時って先生に頼まれ事されたんだよね?
何だったの?」

「パーティードレスイベントと別に、
花嫁さんのブーケデザインを考えて欲しいって…」

るなが「ええっ!?」と公園に響く大声で驚いた。

「凄いぢゃん!太陽先生から直々に頼まれたって事でしょ!?」

「うん、大役過ぎて初めは断ろうかと思ったんだけど……太陽先生が……」

あれ???

何だこれ?

ボクの頬の筋肉がキュッと熱くなる………。

そうだ、あの時。

『……月村が、いいんだ。』


「太陽先生が、そう言ってくれて…。」


この一連の流れをそういえば、
るな達に話してなかった……。

信頼されて嬉しくて、

まさかあんな事言われるなんて
思ってもなくて……。

《猫みたいだな。
隠れてないで、出ておいで。》

太陽先生の、包容力ある優しい笑顔を
思い出してしまった……。

その瞬間、

顔が熱くなってきたのが、

自分でもハッキリ分かった。



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