ボクは初恋をまだ、知らない。
「あのウェディングドレスは…太陽先生の珠璃さんへの想いが込めて作られた物だから。」

胸の小さな痛みに、
ボクは気づかないようにした。

「2年前に珠璃が結婚相手と交際を始めてから、太陽先生はウェディングドレスに秘めた想いを込めて作っていたの。」

倉橋さんは長い髪をサイドに寄せ、
少し懐かしげに語ってくれた。

「自分の想いを隠し通したまま作ってたからか、途中で太陽くん、スランプに陥って作れなくなっちゃってね。それで教師の間でそんな呼び方されていつの間にか生徒の間にも広がっちゃった訳。」

「太陽先生の想いが…止まったままの部屋?」

「…そうとも言う。」

ボクの片想いを知ったからか、
倉橋さんは少し申し訳なさそうな顔をした。

「そういえば、あたしの場合は先輩から"時の止まった部屋"があるって聞いてたけど、みんなその名前の由来は知らなかったんですよねぇ。」

るながそう言った。

「元はねぇ、くそ性格悪い教師が太陽くんへの嫉妬と皮肉を込めてそう呼び出したしね。
今はもうその教師いないけど。」
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