ボクは初恋をまだ、知らない。
「展示されていくドレスチェックをしていた時に月村のドレスを見た。案の定、お前の個性丸出しのデザインだった。」

うっ……。

本当は褒め言葉のはずなのに、
今はそれがリスクになっているから矢が刺さる。

「ボク、まだパーティとか行ったことなくて…それでテンション上がっちゃって。ニーズに合わないドレスを。」

言い訳と弱音がついでてしまった。

「でもな、月村の作品は誰よりも経験を感じた。」

え?……経験?

「ニーズには合わないかもしれないが、
その分目が肥えたお客様も多いんだ。見ただろ?ブランドバッグや高そうなネックレスを付けたお客様達を。」

「はい。確かにお育ち良い人が多そうでした。」

「そんなお客様達が衣装を選ぶ理由を、
月村は充分に持っていると思うぞ。
もっと自信を持て。おまえの作品なら大丈夫だ。」

太陽先生が……

ボクを励ましてくれている。

先生がそう言ってくれるなら…

不安だった、気持ちが軽くなっていく…。

「太陽先生…ありがとうございます。」

「うん、顔色も戻ってきたな。
よしっ!会場に戻ったら遅れを取り戻せ!」

「はいっ!先生のお墨付きとして頑張ります!!」

「えぇ!?なんで月村がその事知ってんだよ!?」

「噂です!!」

「えぇ!?」
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