クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
「バカ!違うわよ!話聞きたいって言ったのは私だし!完全に宇垣くんのこと吹っ切れたって言ったら嘘になるけれど!私がイラついてるのは、宇垣くんにあんだけ気に入られてるくせにあんな女ごときで落ち込んでるから!」
「あんな女って……」
固まってる私をよそに、円は「もーっ!」と頭を
かきながら「よーく聞いてなさい?」と言って話し出した。
「羽富 莉々。私たちより一つ年下の高校1年生。親の会社が海外に展開してからはずっとアメリカ住み。噂によると、もうずっと前から夏休みの時期に宇垣くんに会いに来ているらしいの」
「そうなんだ……」
寮で莉々ちゃんのことは少し聞いていたけれど、ここは黙って円の話を聞く。
「それで、かなり宇垣くんのことを溺愛しててね。去年なんか、わざわざうちの学校のカフェで宇垣くんとお茶してて。それ見た女子、みんな『きぃー!』ってなってたわよ。特別寮は女子生徒にとってアイドルみたいなもんだしね。まぁ、そういうみんなの反応に漬け込んでゆるの秘密をバラした私が言えることじゃないんだけど」
「そのことは、もういいよ」
「よくないんだけどさ!とにかく……一度見ただけでわかったよね『やな奴』って」