クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
*
あれから、円と話していたらあっという間に3時間ほどたって。
夕飯の準備がある私に気を遣って、円がすぐに車を手配してくれたおかげで、無事に時間を間に合わせて寮に着くことができた。
円に何度もお礼を言って、学校の門で別れてから、少し落ち着いた気持ちで寮へと向かう。
『本当は、その気持ちに気付いちゃうのも怖くて、見て見ぬフリしてるんじゃないの?』
円にそう言われてハッとさせられた。
ものすごく図星だった。
早凪くんに触れられるのは、瑛斗さんや翼くんに触られるのとは少し違ってて。
恥ずかしくて身体中が熱くなるけれど、どこかすごく心地が良くて。
正直、台風の日は、離さないでほしいって気持ちがよぎった。
だけど、早凪くんにとって私はただの抱き枕程度で。
瑛斗さんや翼くんも、私のことは『家族』だって言ってくれてて。
早凪くんにも『家族のこと守るのに理由いるの?』なんて言われたっけ。
あの時はすごく嬉しい言葉だったけど。
今は少し違う。