クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。





あれから、円と話していたらあっという間に3時間ほどたって。


夕飯の準備がある私に気を遣って、円がすぐに車を手配してくれたおかげで、無事に時間を間に合わせて寮に着くことができた。


円に何度もお礼を言って、学校の門で別れてから、少し落ち着いた気持ちで寮へと向かう。



『本当は、その気持ちに気付いちゃうのも怖くて、見て見ぬフリしてるんじゃないの?』


円にそう言われてハッとさせられた。


ものすごく図星だった。


早凪くんに触れられるのは、瑛斗さんや翼くんに触られるのとは少し違ってて。


恥ずかしくて身体中が熱くなるけれど、どこかすごく心地が良くて。


正直、台風の日は、離さないでほしいって気持ちがよぎった。


だけど、早凪くんにとって私はただの抱き枕程度で。


瑛斗さんや翼くんも、私のことは『家族』だって言ってくれてて。


早凪くんにも『家族のこと守るのに理由いるの?』なんて言われたっけ。


あの時はすごく嬉しい言葉だったけど。


今は少し違う。

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