クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


「円ちゃんめっちゃ綺麗だね〜!浴衣だとものすっごい大人っぽくなる〜!」


「どうも」


瑛斗さんの褒め言葉にも動じず、円はサラッとお礼を言う。


「待った?」


「うん、かなり」


正直にそう答える円は円らしくて、少しホッとする。


莉々ちゃんがいることでずっと不機嫌そうだったから。


いや、男性陣が来るの遅くて本当に苛立っていたのもあるかもしれないけど。


「ごめんごめん、早凪が遅くってさ〜!」


「は?瑛斗が帽子がないとか騒いでたからだろ?」


「わぁ〜〜!早凪の浴衣姿かっこいい〜!!」


そう言って、早凪くんの腕に手を回したのは、もちろん莉々ちゃんで。


「……っ、」


莉々ちゃんの言う通り、早凪くんの浴衣姿は、本当にかっこよくて思わず見惚れていたら早凪くんと視線がぶつかって慌ててそらしてしまった。


グレーの浴衣と、黒っぽい帯。
シンプルなのに、実にかっこいい。
悔しいぐらい。

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