クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


「早く行こ!莉々すごく楽しみ!」


莉々ちゃんが、早凪くんの腕を掴んだまま先頭を歩き出した。


瑛斗さんと円がその後を追いかける。


自然と、先頭に莉々ちゃんと早凪くん、その次に円と瑛斗さん、最後に、私と翼くん、という順番で、花火が始まる前の屋台を回る時間が始まった。


「早凪、見て見て!おっきいわたあめ!」


「うわ、あれ食べる人いるの」


たくさんの人混みの中、聞きたくない会話は異様によく聞こえてしまう。


「莉々、早凪とふたりなら食べられるよ!」


「嘘、莉々ぜったい飽きたって言って残すよ」


「そんなことないもんっ!」


誰よ、浴衣着て花火見たいなんて言ったの。
あぁ、私だよね。


円は、何度もこちらを振り返ってくれては、私の様子を伺ってくれていたけれど、それもなんだかすごく悪い。


円にだって、本当はめいいっぱい楽しんで欲しいのに。


落ち込んだ気持ちのまま、人の流れに身をまかせるように、前へと進んだ。

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