クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。


「ゆるちゃん、大丈夫?」


「へっ……」


歩いて少しして、隣の翼くんが心配そうに私の顔を覗き込んだ。


「いや、なんか元気なさそうだなって。ぼーっとしてたらはぐれちゃうよ〜」


翼くんはそう言って、私の手首に手を伸ばした。


「つ、翼くん?」


「ゆるちゃんはぐれちゃいそうだから、ここ掴んでな」


翼くんはそう言って、自分の浴衣の袖を私に掴むように促した。


「いや、大丈夫だよ!そんなことしなくてもっ」


そこまで子供じゃないから、と思ってそう断ったけど「絶対はぐれないって約束できるの?」と聞かれて、渋々袖を掴ませてもらった。


もし仮に迷子にでもなったりしたら、それこそみんなに迷惑かけちゃうし。


迷ったけど、ここは翼くんの言うとおりにしようと決めた。

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