クールな無気力男子は、私だけに溺愛体質。
もう少し早く歩かなきゃ。
そう思ってさらに歩き出した瞬間。
────ブチッ
と、なにかが取れる音がした。
うそ。
そう思って、慌てて手に持っていた巾着に目線を移す。
あれっ?!
巾着につけていた、翼くんから取ってもらったあのストラップが見つからない。
ついさっき、お店の前でつけたばかりのストラップ。
何度、巾着袋を見ても、やっぱりない。
立ち止まって、すぐに足元に目を向ける。
その瞬間、繋がれていた翼くんとの手が、人の波によってスルリと離された。
でも、今の私はそれよりもあのストラップを探すのが先。
だって、翼くんがあんなに私のことを色々心配して取ってくれたものだ。
この花火大会に来て、今日、初めてちゃんと笑えた瞬間なんだもん。
どう考えたって大切なものだ。